Challenge YAHAGI Project

Challenge YAHAGI Project #2
EPISODE 0

初の8耐を終え、次の扉が開く

2023年、夏。
YAHAGIが半年をかけて挑戦してきた、その名のとおり「challenge YAHAGI project #1」が終幕した。

YAHAGIのファーストチャレンジは、「鈴鹿8時間ロードレース」に初出場するチームに向けた、耐久レース用ガソリンタンクの製作だった。

社員の誰もが初めて取り組む「コト」であり「モノ」であったが、紆余曲折する中で完成。
汗も涙も悔しさも、無事完走&総合26位、クラス6位という戦績のおかげで昇華された。

この成功がくれたのは、完走という実績だけではなかった。

そもそも、「Challenge YAHAGI」の目的として、根底にあったものは、
「YAHAGIの技術や開発能力を知って欲しい!」
「YAHAGIの活動内容を知って欲しい!」
という思いだ。
加えて、社員のモチベーションを上げ、もちろん技術も開発能力も高めていくこと。
さらには、認知度も上がり、企業イメージをよりよくしたいという気持ちもあった。

そんな中「challenge YAHAGI project #1」により拡大されたものは、ひと言で表わすなら、
「YAHAGIへの興味」だと思う。

 

「見学したい」という問い合わせが増える

8耐が開催するまでの数ヶ月、私たちはTwitterを中心に、YAHAGIの活動内容を都度アップしていた。
フォロワーは日に日に増え、認知の上でも手応えを覚え、応援の声もたくさんいただいた。

その様子を、ほかのチームや関係者が見ていたようで、8耐終了後「どういう会社なのか、見学させて欲しい」という問い合わせを数多くいただくようになった。
タンクの問い合わせではなく「見学を」というワードだったのは、活動内容や開発内容を知っていただいたのはもちろん、「他分野でスピード感のある開発をやり切ったから」だと感じた。

とはいえ実情は、使っていただいたチームだけでなく、ほかのチームからどう評価されているか意見を聞きながら、次の年はどういうチャレンジをしていこうか、模索していた時でもあった。
そんな姿を誰かが見てくださったのだろう。積極的にリサーチに取組む姿勢がプロチームの共感を産み、目に止めてもらえた。そんなふうにも感じた。

8耐初参加チームを無事完走に導いたことは喜ばしく、チャレンジしたことは誇りでもあるが、やはりもっともっとYAHAGIのことを知って欲しい。
まだできることがある。この技術を他に活かしたい。そして社会の役に立ちたい…。
夏の終わりを迎え目標を達成しながらも、私たちはさらなる熱意を心の奥底に抱いていた。

 

あの「7C」と「ダンロップ」から声がかかり…

ある秋の日のこと「見学したい」と来訪してくださったのが、7C(セブンシー)。
バイクに詳しい方ならご存知だと思うが、7Cさんはプロフェッショナルなレーシングチームであり、これまで小排気量クラスを中心に、全日本ロードレース選手権J-GP3クラスを選択してきた。そして、協力メーカーとともに新たなモノの開発をしてきている。

その7Cが「今度、ダンロップさんとともに新しいチームを発足するので、YAHAGIさんにも協力して欲しい」と言ってくださったのだ。

なぜYAHAGIだったのか、その理由を訊ねると、「限られた時間内に私たちの望む精度の部品を製作できる、設備と技術者を備えていた」からだそう。
改めて「YAHAGIの技術と世界観が、8耐を通して伝わったかもしれない」とおぼろげながら実感できた。

詳しくお話を伺ったところ、これまで7Cさんは、排気量が小さいクラスでは全日本で優勝しており、ダンロップさんとも開発してきた。そして今後は1000ccでも実績を残すために結果が出る開発を強化し、会社の名前をかけて取り組んでいくとのこと。

私たちと同じく、7Cさんもダンロップさんも「変わろう」と決意していたタイミングを迎えていたのだ。
「この人たちとともに最前線に乗り出して行きたい!」。
こうして私たちは挑戦への意思を固めた。

 

モータースポーツと試作の共通点

さらに、共感した点があった。
それが、モータースポーツと試作に共通点があるということだ。

1つ目が、BtoBであるということ。
2つ目が、BtoBであるゆえ、ユーザーとの距離が遠く、評価の声が届いてこないということ。特に2つ目に関しては「本当にそうだ」と、大きくうなずいた。

私たちが1/1000mm単位で、日々試作に取り組んでいても、直接ユーザーさんから「良かったよ」と言われることはない。
それは歯がゆく、仕方のないことではあるが、例え声が届かなくともモノを作り評価をいただければ、開発能力の向上に繋がる。

そのためには、やはり新しい挑戦として一歩を踏み出していかなければならない。
今回のお話を伺い、同じ気持ちを背負いながら、日々と向き合う二者の姿が重なったように感じた。

しかも、ダンロップさんは3年をかけて日本でトップになるという、本気の志を持っている。
「私たちと同じベクトルを持っている」。そう思ったYAHAGIは年末に協力を決めたのだ。

 

情報解禁とともに、社内で驚きの声があがり…

年が明けて2月。
水面下で、3月の第一戦に向けてチームが協力する中、ようやくプロジェクトをお披露目する日がやってきたのだ。

実はそれまでは、社内でも役員以外で知る人はほんのひと握り。
担当者が説明をしたところ、「あのダンロップと?」と社内のあちこちで驚きの声が上がった。

それからは、周囲からの応援や驚きを肌で感じた。
お客様からは「僕たちの知っているあの矢作?」と言われたり、バイクが好きな人から「応援しているよ」と言われたり。
また、業界的には二輪を得意とする企業さんから「YAHAGIさんって何やってるの?」と訊かれる機会も増えた。
確かに「なぜ矢作が?」という気持ちもあるかもしれないが、気にしてもらえるだけで嬉しい。
興味を持ってもらえ、そういう開発に協力できたことでモチベーションは上がっていった。

そして3月、鈴鹿での第一戦。
マシンに乗るのは、世界的にも活躍する長島哲太選手。
バイクに詳しくない人でも知っている、あの長島選手だ!

結果としては、ポールポジションが取れ「私たちが参加してきたチームって、こんなに凄いのか!」とさらにモチベーションが上がった。
もちろん、これからも更なる高みを目指し、チームは一丸となる。

現在、Googleで「ダンロップ YAHAGI」と入れると、このプロジェクトが1位で表示される。
とても誇らしい気分だ。
「8耐の時、極限まで頑張ったつもりだが、まだまだなのか…」と思っていたが、多くの方に評価され、こんな景色を見せてもらえるようになるとは。
評価されたことも嬉しいし、チャレンジすることの大切さを学んだ1年だった。

重ね重ねにはなるが、アルミタンクを評価していただいた上で「モーターサイクルの活動」に注目が集まったことは、嬉しい限りである。
僭越ながら「YAHAGIへの評価」だと感じられたからだ。

ここからいよいよレースのシーズン。
私たちの挑戦は、まだまだ続く。

~Continue EPISODE 01

 

★DUNLOP Racing Team with YAHAGI インサイドストーリー★
https://dunlop-motorcycletyres.com/news/entry-31374.html