Challenge YAHAGI Project

EPISODE:0

鈴鹿8耐を無事終え、
改めて振り返るこの半年間

8耐が終わった。
毎年繰り返される「鈴鹿8時間耐久ロードレース」だが、今年の8耐は私たち矢作産業にとって、特別なものとなった。

Taira Promote Racingが鈴鹿8耐へ挑戦するということで、耐久レース用ガソリンタンク製作の依頼をいただき、約6ヶ月。ゼロからの開発にして異例の早さで製作。
そして無事に8耐の本戦を終えることができた。

本戦の結果は、初出場にして総合26位、クラス6位の大健闘!
鈴鹿の夏の8耐を無事走りきり、心配していたガソリンタンクにも、大きな問題はなかった。

Challenge YAHAGIのスタートの案件としては、上々の出来で終えられたといえる。

ところで私たち矢作産業が、SNSで情報発信をしてホームページも一新し、なぜ新しいCHALLENGEをすることになったのか。
最初のチャレンジを終えた今、改めて触れてみることにする。

 

変わりゆく自動車業界
100年に一度のポイントを迎え…

私たち矢作産業株式会社は、自動車ボデーの試作メーカーである。
世界№1ともいえる、自動車メーカーグループのボデー試作も請け負っている。
業績も、ここ何年かは順調だ。

ただし「今のところは」だ。

自動車業界は変わっている。そう「100年に一度の転換期」なのだ。
この先どう変わっていくのかはまだ不明だが、顧客の自動車メーカーからは「試作の評価方法が変わるため、現状の仕事は減少する」といわれている。
となると、新しい仕事を増やさないといけない。

私たちの技術は、自動車ボデー試作以外の分野でも重宝されるはず。
その自負もある。
ただ、どうやって違う業界に売り込んだらいいのだろう……。

矢作産業には「VISION2035」という目標がある。
具体的には、年率2%の成長と、新規事業を獲得して売り上げの20%にするという目標だ。
この「VISION2035」達成のためにも、新しい仕事を探さねばならないことはわかっているが、今までの顧客は自動車メーカーと部品メーカーのみ。加えて新規顧客への営業の経験もないので、正直どうしていいかわからない状態だった。

 

「SNS」という新しい発信の
影響力を目の前で知る

そんな中、2022年の秋、突然の出来事が起こった。
株式会社三陽の磯貝さんより、突然連絡があったのだ。
それは、ある自動車メーカーの動向についての質問だった。

磯貝さんは、当社の長谷川取締役の高校・大学の友人でもあり、確か仕事も自動車部品の系列ということもあり、久々に食事でもという話になったらしい。

積もる話に花が咲き、いろいろと話をしているうち、長谷川は思い切って訊ねた。
「最近、仕事どう?」

単刀直入の訊き方も、旧知の仲であるからこそだろう。
磯貝さんからの回答は「順調っていえば嘘になる。100年に1度の転換点ってことだから、従来の自動車部品の仕事は順調に減っているし、回復の兆しもないね(苦笑)。
でもSNSの情報発信で、会社のことを知ってもらって、ボチボチやってるよ」とのこと。

「ん? なんだ? SNS? 知ってもらうってどういうこと?」と訊く長谷川。
すると磯貝さんは「簡単に説明するとね…」といろいろなことを教えてくれた。
初めて知る内容もあったが、要約すると「自分の会社やサービス、技術を知ってもらうことで、新しい仕事やネットワークが広がる」ということらしい。
「そもそも知らなきゃ、検討もしてもらえないでしょ」とも。
全くもってその通りである。

話題は過去の長谷川の趣味のことになり「そういえばバイク好きだったよね、鈴鹿とか行ったことある?」と訊ねる磯貝氏。
そして
「全日本のロードレース、観に行こうか?」

こんないきさつで、鈴鹿サーキットで行われた、全日本ロードレースに連れて行ってもらった。11月のことである。

当日、磯貝さんにピットに連れていってもらった長谷川。
一緒に歩いていると、多くのレース関係者が磯貝さんに話しかけてくる。話題は、磯貝さんの会社、株式会社三陽さんの商品である、特殊塗料HDP(Heat Dominator Paint)のことだ。

思わず訊いてみる「どうやって知り合ったの?」
「紹介もあるけど、きっかけはSNSが多いかな」と磯貝さん。
さらに彼はこう続けた。

「今はね~、SNSで情報発信できるから、企業規模とかあまり関係ないんだよ」
「問題は知名度。その会社がどんな会社で、どんなサービスを提供しているのかって、自分で思っているよりも全然知られてないのよ」
「今まで知名度を上げるって、テレビやラジオのCM、広告、展示会、口コミに限られていたけど、今はSNSっていう方法があってね。思ったより簡単だし、何より無料」
「でもね、こういうことにほとんどの製造業は気づいてないんだよね~」

実は以前から社長の黒野からも「SNSによる情報発信を」と言われていたが、実際、何をどうしていいのかわからず悩んでいたところだった。
それゆえ、言葉の数々が一筋の光明に見えた。
しかも相談相手が、超相談しやすい人というオマケ付き(笑)。

よくよく話を訊くと、磯貝さんは株式会社三陽さんのプロモーションをした時の経験から、株式会社イノセンスという会社を立ち上げ、企業のブランディングやプロモーション代行をしているとのこと。
のちにホームページ診断をしてもらったのだが、この診断の結果が…(苦笑)。
結果的に、ホームページのリニューアルもお願いすることになったのだ。

レースを見ながらもトントン拍子に話がまとまり、いよいよこの直後、Taira Promote Racingの監督兼ライダー、鈴木孝志さんを、磯貝さんから紹介してもらうことになる。

運命の扉が開いた瞬間だ。

 

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