Challenging People挑戦する人たち
第2回/長谷川 崇(矢作産業株式会社 常務取締役)

「本気でやるなら、主体になって挑戦したい」と思ったんです
はじめまして。矢作産業株式会社の長谷川 崇です。
私たちがなぜモータースポーツに挑戦しているのか。今回は、その背景にある思いや、この数年で感じてきたことをお話ししたいと思います。
技術がどこまで通用するのか、確かめたかった
始まりは2023年でした。
きっかけは、鈴鹿8耐に向けたアルミタンクの製作です。
「自分たちの技術が、どこまで通用するのかを確かめたい」。
動機は、とてもシンプルなものでした。
ただ、実際に向き合ってみると、そこには日常業務とはまったく違う要求水準がありました。限られた領域ではあっても、私たちの技術が本当に試される環境だったと思います。
2024年には、レーシングチームへのスポンサーという立場で関わることになり、現場との距離が一気に縮まりました。
そして2025年には、さらに一歩踏み込み、ラリーの現場にも入るようになりました。車両の整備、エンジニアリング、さらにはレース運営まで関わる中で、私たちの立場は「作る側」から「戦う側」へと変わっていったのです。
中途半端な関わり方はできないと感じた
この過程で学んだことは、本当にたくさんあります。
車両の構造や機能、セッティングの考え方といった技術的な知見ももちろん大きな収穫でしたが、それ以上に強く心に残ったのは、この世界に関わる人たちの姿勢でした。
ドライバー、ライダー、そして現場を支えるすべての人が、結果に対して強い責任を背負いながら、極限の状況の中で判断を続けている。
その情熱の強さと、責任の重さに、私は何度も圧倒されました。
だからこそ思ったのです。
この環境に、中途半端な関わり方はできない。
やるなら、自分たちが主体となって、真正面から向き合うべきだと。
そして2026年、私たちは大きな転換点を迎えます。
2輪・4輪の両カテゴリーにおいて、単なる支援ではなく、自分たちが主体となる体制へと移行しました。

世界に誇れるエンジニア集団を目指して
この挑戦の目的は明確です。
「世界に誇れるエンジニア集団になること」。
自社オリジナルの設計を行い、自社で製品を生み出し、それを自分たちの手で仕上げる。
その一連のプロセスが、本物の競技環境の中でも通用するのかを試したいのです。
モータースポーツの現場は、常に時間制約と環境変化にさらされ、正解のない中で判断が求められる世界です。
だからこそ、その環境で通用する技術こそが、本当に価値のある技術だと、私たちは考えています。

また、この活動は単なる技術開発では終わりません。
社員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、挑戦する姿勢を持つこと。
そして会社全体として、前に進む力を持つこと。
その意味でも、私たちにとって非常に大きな意味のある取り組みだと思っています。
今年の目標も、はっきりしています。
それは「優勝」です。
もちろん、私たちの基本はあくまで「ドライバーファースト」「ライダーファースト」です。
ドライバーやライダーが最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整え、その上で私たちエンジニアが技術で支え、チームとして結果を出す。
個々の力だけでなく、ドライバー・エンジニア・メカニックが連動し、ひとつのチームとして機能することで初めて到達できる領域を目指しています。
そして、その挑戦の過程そのものを、これから皆さまにもお見せしていきたいと思っています。





